働き方の変

働き方を変えるための準備としての知識

パワハラは職場を壊す風土病

近年パワハラが社会問題化しています。実際労働局に寄せられる労働相談でもパワハラに関するものが増加しています。パワハラに関して正しい知識を持つ必要があります。なぜならパワハラはちょっとしたことで自分が被害者にも加害者にもなり得るからです。

増加するパワハラ相談

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各都道府県の労働局や監督署に設置されている総合労働相談コーナーに寄せられるパワハラ相談は7万件を超えています。

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 (あかるい職場応援団HPより)

給料の未払いや解雇に関することなどを抜いて相談件数の中でも最多の件数となっています。もちろん相談の中には実際はパワハラに該当しないものもあるでしょう。それでもこの10年間で件数が3倍に伸びていることは特筆すべきことではないでしょうか。

パワハラの要件とは?

パワハラは様々な形態があります。またパワハラと指導との境界線がわかりにくいため上司もどのように部下と接するべきかわからず困っているという状況があります。特にパワハラに関する研修などを行える余裕のある大企業はともかく、中小零細企業ではなかなかパワハラについて周知されることが少ないです。

そこでまずはどういったことがパワハラになり得るのかを確認しておきましょう。

精神的攻撃

例えば「バカ」や「死んでしまえ」などの言葉による暴力。精神的に追い詰めてしまうような言動はパワハラに該当する恐れがあります。

身体的攻撃

殴る蹴るなどの暴行はパワハラでもあり、傷害などの刑事事件にもなり得ます。仕事中の暴力が正当化されることなどありません。

過大な要求

絶対にできないような業務量を振られるのも場合によってはパワハラに該当します。特に残業が80時間など過労死ラインにかかるようであれば過大な要求だと言えます。また終業時刻間際に明日の朝イチに使う資料を作っといてよ、なども残業前提の仕事のさせかたですので望ましいとは言えません。

過小な要求

過大な要求の反対に、本人の能力に比較して簡単な仕事しか与えない場合は過小な要求としてパワハラになるかもしれないです。例えば気に入らない部下を倉庫で1日在庫品を数えるだけの仕事に就かせるなどがこれに当たります。

人間関係からの切り離し

職場内で仲間外れにすることです。そんな幼稚なことが会社であるわけないと思っている人は良い会社に勤めてますね。実際にこういった無視するなどのいじめが起きる会社は少なくありません。

個の侵害

プライベートに過度に立ち入るのもパワハラです。「結婚しているのか」「子供はいるのか」など仕事やその人の能力となんの関係もないことをしつこく聞くのは控える必要があります。

なぜパワハラは増加しているのか

ここからはパワハラが急激に増加している原因を探って見たいと思います。原因がわかればパワハラを予防するための方策が見つかるのではないでしょうか。

表面化しただけ

一つはパワハラやそれに類することは昔からあったけど、近年労働者の権利意識の拡大やインターネットなどを通じ知識を誰でも簡単に得られるようになったので表面化しやすくなったというものです。僕らのもっと上の世代の話を聞くと、確かに昔の日本企業のほとんどで今でいうパワハラまがいのことはあってたんだろうと感じられます。ただ終身雇用や年功序列で昔は会社との結びつきが今よりもずっと強かった。そのため多少のことがあっても我慢していたのではないでしょうか。しかし現代は転職は当たり前です。バブル崩壊後は終身雇用も崩壊しました。そこで労働者が無駄な我慢をしなくなっったというのがパワハラ相談件数が急増した原因の一つだと考えられます。

企業に余裕がなくなった

バブル崩壊やリーマンショックで日本経済も長い低迷期がありました。企業も生き残りをかけて厳しい運営を強いられています。何より成果を出すことを求められ一人一人にかかるプレッシャーもキツくなっています。こうした状況が心から余裕をなくし他者に必要以上にキツく当たることに繋がっているのではないでしょうか。パワハラは上司と部下だけでなく、同僚間でも起こります。余裕がなく社員間のコミュニケーションが不足している職場ではパワハラが発生しがちな傾向があります。

世代間ギャップ

一昔前は家庭でも学校でも職場でも、例えばちょっと悪さをすれば軽く小突かれるくらいは普通のことでした。お互いの共通理解としてそれくらいのことはあるよね、というものがあったのではないでしょうか。しかしいまの時代暴力を伴った教育は否定されます。若い人は育ってくる過程でそうした意識を持ちますが、年配の人は社会に出たあと、会社という閉じた組織の中で、昔の感覚のままでとどまっている人が多くいます。

パワハラは会社を壊すものと意識する

パワハラが発生した際にしばしば見られるのが、適切な対策をせずに放置することです。これは会社の対応としては最悪です。経営者や人事担当者はパワハラは会社を壊しかねない病であるということをしっかりと認識する必要があります。そのためにはまずはパワハラについての正しい知識を持つことと、パワハラが起きる原因はどこにあるのかを探ることです。

 

今回はパワハラを構成する要素と発生する原因について考えてみました。

良い職場をつくる際の参考にしてみてください。